事業用資産の買換え特例の適用の注意点 取得期間内の買換資産取得が困難な場合
事業用資産の買換えの特例の適用を受けると、一定の要件のもと、譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べることができます(譲渡益が非課税となるわけではない)が、買換えの特例の適用を受けるための注意点があります。
それは、資産を譲渡した年か、その前年中あるいは譲渡した年の翌年中に買換資産を取得することが必要となることです。買換資産をこの期間内に取得しないときは原則としてこの特例は受けることができません。
ただし、買換資産の取得において、やむを得ない事情があれば、買換えの期限が考慮されます。やむを得ない事情により、資産を譲渡した年の翌年12月31日までの期間内に買換資産の取得をすることが困難な場合には、資産を譲渡した年の翌年12月31日後2年以内において税務署長が認定した日までの期間(これらの期間を「取得指定期間」という)に、買換資産の取得期間を延長することができます。
このやむを得ない事情とは、(1)工場などの敷地の造成や建設移転にかかる期間が通常1年を超えること、(2)法令の規制等により取得計画の変更をしなければならなくなったこと、(3)売主、その他の関係者との交渉が長引き、簡単に資産の取得ができないこと、(4)(1)から(3)に準じた事情があること、の4つのいずれかのケースに当てはまる場合をいいます。
また、特定非常災害に基因するやむを得ない事情により、取得指定期間内に買換資産を取得することが困難となった場合には、取得指定期間の末日後2年以内の日で税務署長が認定した日までの期間に、取得指定期間を延長することができます。なお、特定非常災害とは、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律第2条第1項の規定により特定非常災害として指定された非常災害をいいます。
買換資産の取得期間の延長を受けるには、資産を譲渡した年についての所得を申告する際に一定事項を記載した「やむを得ない事情がある場合の買換資産の取得期限承認申請書」を税務署長へ提出する必要があります。一定事項とは、(1)申請者の氏名及び住所、(2)買換資産の取得が困難なやむを得ない事情の詳細、(3)買換資産の取得予定年月日及び税務署長の認定を受けようとする日、(4)その他参考となるべき事項です。