税務に関するコーポレートガバナンス 資本金1億円以上の企業にも拡大を検討

国税庁では、「税務に関するコーポレートガバナンス」(税務CG)について特官所掌法人を対象にその展開に取り組んでいますが、この特官所掌法人以外の法人にも拡大する方針で進めています。
具体的には、資本金1億円以上の一般の調査課所管法人にまで広げる方向で検討し、試行的に進めているところです。特官所掌法人は資本金40億円以上等で全国に約500社ありますが、調査課所管法人は原則資本金1億円以上の法人で全国約3万5,000社あるため、今後この取り組みが進めばかなりの範囲に及ぶことになります。
この税務CGの取り組みについては、税務当局と企業とが協力的に行動し税務コンプライアンスの向上を図る目的があり、「調査」ではなく行政指導に該当し、企業の自発的な対応が求められます。
現在、「特官所掌法人」が対象で2011年から実施されています。特に、金融商品取引法で内部統制報告書の提出義務がある上場企業や会社法において内部統制システムの整備が義務付けられている企業など税務CGの充実が期待され、この協力的手法を通じて自発的な適正申告を推進しています。同庁によると、令和5事務年度の特官所掌法人の税務調査では110社について税務CGの状況の確認・判定を行っています。
現状の手順としては、「税務に関するコーポレートガバナンス確認表」を企業担当者が作成、調査官に提出し、記載内容を確認、税務CGの評価・判定を行います。この評価結果に基づき調査官は企業の担当者に説明し、意見交換を行い、トップマネジメントとの面談の流れとなります。
取り組みの対象を調査課所管法人まで広げる方向で検討が進んでいますが、具体的な対象法人の拡大の時期などについては未定で、試行を通じて決定するとしています。税務CGの取り組みに対応することで税務当局企業双方にメリットが生じる効果が期待されますが、企業にとっては、税務ガバナンスが向上する利点もあるほか、評価結果が良好などであれば、次の税務調査までの間隔が一般的に長くなるなどとも言われており、その効果も大きいです。
全国の各国税局(沖縄は国税事務所)の調査課(部)が管轄している法人で、原則として資本金が1億円以上の法人とされています。さらに、概ね資本金40億円以上などの法人については、特官(調査部特別国税調査官)と呼ばれる部門の所掌になります。特官所掌法人は全国に約500社、税務調査件数は年間約200件であるのに対して、調査課所管法人は全国で約3万5千社、調査件数は約2,000件程度となっています。