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消費税の不正受還付、過去10年間で最多国税庁 令和6年度の査察の概要を発表

コラム
Calendar Icon 2025.09.05
消費税の不正受還付、過去10年間で最多国税庁 令和6年度の査察の概要を発表

国税庁がこのほど明らかにした令和6年度の査察の概要によると、査察の着手件数は151件(前年度154件)で、処理件数は150件(同151件)、脱税総額は112億7,000万円に上ることがわかりました。このうち、検察へ告発された件数98 件(同101件)の脱税額は82億3,000万円(同89億3,100万円)で、1件当たりの脱税額は8,400万円(同8,800万円)となっています。この中で重点事案として、消費税事案29件、無申告事案13件、国際事案20件が告発されていますが、消費税事案のうち17件(同16件)が消費税不正受還付事案で、過去10年間で最多となっています。同庁では消費税に対する国民の関心が極めて高いことを踏まえ、特に消費税の仕入税額控除制度等を悪用した不正受還付については「いわば国庫金の詐取」ともいえる悪質性の高い事案との認識から、積極的に取り組んでいます。消費税不正受還付事案の中には、高級腕時計を海外へ輸出販売したように偽装するため、インターネット等で購入した安価な腕時計を用意し、高価な腕時計を購入したとする領収証や輸出関係書類を作成して、架空の課税仕入れや架空の輸出免税売上げを計上し、不正に消費税等約 1,600万円の還付を受けたほか、消費税等約1,000万円の還付を受けようとした事例が報告されています。また、国際事案では、海外法人が運営する医薬品等のインターネット販売事業に係るコンサルティング報酬を売上から除外し、海外預金口座で留保する方法により所得税を免れていた事例等が報告されていました。告発された事案のうち、多かった業種を見ると、最も多いのは建設業で21者、次いで不動産業11者、人材派遣5者となっています(者数は同一の納税者に係る複数の税目での告発を1者で換算)。また、令和6年度中に一審の判決があったものは99件ですべて有罪判決となっています。13人に実刑判決が出されていて、うち消費税法違反を含むものは7人となっています。

査察制度

一般の税務調査とは別に、悪質な脱税者に対して強制調査権(ガサ)があり、刑事告発、刑事責任を追及することもあり、多くの人に注意を促す「一罰百戒」の効果も期待されています。その調査を担う国税査察官は全国で約1,500名、その3分の1以上の約550名が東京国税局査察部に在籍しています。メディア、ネット、投書などの情報収集、対象者の選定着手判断等を行う情報事務と強制調査、検察への告発を行う調査事務に分けられています。