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今夏より相続税調査でもAI活用始まる申告書全てのスコア化で調査対象を選定

コラム
Calendar Icon 2025.10.05
今夏より相続税調査でもAI活用始まる申告書全てのスコア化で調査対象を選定

人工知能(AI)に利用が各界で飛躍的に進展しているなか、税務当局でもその利用が進みます。国税庁は、今夏より全国で相続税調査にAIの活用を始めています。申告漏れ等の税務リスクが高く調査の必要性がある事案についてAIを使って効率的に選定、これまで以上に深度ある調査を行うとしています。すでに税務調査の必要性が高い事案の判定にAIを活用していますが、提出された全ての相続税申告書をAI判定の対象とし、税務リスクに応じてスコア化を行い、税務調査の要否等を判断します。これらAIにより選定した相続税の事案に対する税務調査を開始することになります。ちなみに、令和5年分の相続税の申告書の提出に係る被相続人数は15万5,740人、全死亡者数のうち相続税申告書の提出割合(課税割合)は9.9%、昭和42年分以降で過去最高となっています。相続税の申告件数等の増加に伴い、調査対象の選定の際の事務効率化が課題ともされており、AIの活用により増加する調査必要度の高い事案に対処しつつ、調査可能事案の拡大も期待されています。具体的なAIの活用方法としては、全国の税務署に提出された全ての相続税申告書のデータを集め、各相続税申告書データに申告漏れ等のリスクが想定されるレベルとしてスコア付けします。スコアは0から1の間で細分化されます。申告漏れ等の税務リスクの判定、スコア化に際しては過去の調査事績、申告漏れ等が生じた相続税申告書や財産債務調書等の法定調書などの情報から申告誤りの傾向を分析します。現場の各国税局、税務署はスコア等に基づいて、それぞれの事案について、税務調査の要不要や税務調査を行う場合は実地調査か電話等による「簡易な接触」を行うかなどの対応も判断することになります。毎年継続した申告がある法人税や所得税とは違い、相続税の申告は一度ということもあり、このようなAIを活用した調査体制を強化していく方向です。

税務調査とAI

法人税や所得税の調査では先行して人工知能(AI)が活用されています。追徴税額も増加していることからその効果は大きいとされています。国税庁では、デジタルを活用した手続や業務の在り方の抜本的な見直しとして税務行政の「DX」に取り組んでいく方針を明確にしています(税務行政の将来像2.0)。その柱の一つが「課税・徴収の効率化・高度化等」で、税務調査にも今後積極的に活用していく方向です。