消費税の歴史と諸外国の比較
1. はじめに
消費税は、世界中の多くの国で広く採用されている税制の一つです。本稿では、消費税の歴史と諸外国での比較を通じて、その税制の変遷と国際的な傾向について探っていきます。
2. 消費税の歴史
消費税の起源は古く、初めて導入されたのは第一次世界大戦前のフランスでした。当初は特定の商品に対する税金として始まりましたが、次第に広範な商品に適用されるようになりました。日本では、1989年に消費税が導入され、その後も税率の変更が行われてきました。
年月 | 首相 | 税率 | 概要 |
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1979(昭54)年1月 | 大平 | 「一般消費税」導入を閣議決定 | |
1987(昭62)年2月 | 中曽根 | 「売上税」法案国会提出(同年5月廃案) | |
1988(昭63)年12月 | 竹下 | 消費税法成立 | |
1989(平元)年4月 | 3% | 消費税法施行 | |
1994(平6)年4月 | 細川 | 税率7%の国民福祉税の構想発表 | |
1994(平6)年11月 | 村山 | 消費税率3%→4% 地方消費税1%を加える税制改革関連法が成立 |
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1997(平9)年4月 | 橋本 | 4% + 地方消費税1% |
消費税5%に引き上げ |
2009(平21)年9月 | 鳩山 | 「消費税率は4年間上げない」とする マニフェストで民主党が選挙で勝利 |
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2010(平22)年6月 | 菅 | 「消費税10%」を打ち出し、選挙に惨敗 | |
2012(平24)年6月 | 野田 | 消費税率を2014年に8%、15年に10%引き上げる法案提出 | |
2014(平26)年4月 | 6.3% + 地方消費税1.7% |
消費税率8%へ引上げ | |
2014(平26)年11月 | 消費税税10%引上げを2017年4月に延期 | ||
2016(平28)年6月 | 安倍 | 消費税率10%引上げを2019年10月に延期 | |
2019(令元)年10月 | 7.8% + 地方消費税2.2% |
消費税率10%へ引上げ。軽減税率導入 |
3. 諸外国の消費税率
消費税の税率は、国によって異なります。例えば、欧州連合(EU)の加盟国では、平均的な税率が約20%程度であり、ハンガリーやスウェーデンなど一部の国では25%を超える高い税率が適用されています。一方、北米ではアメリカ合衆国やカナダで州や州間の差異があり、税率は州によって異なります。日本は消費税率が10%で、世界の平均税率17.6%と比較すると税率の低い国に位置付けられています。
出典: 財務省:消費税など(消費課税)に関する資料
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/itn_comparison/j04.htm
4. 消費税の目的と利点
消費税は、国家の歳入を増やすために導入されることが一般的です。また、所得税や法人税と比較して、経済全体に均等に分散されるため、負担の公平性が高まるとされています。さらに、安定的な財源を確保し、社会保障制度を次世代に引き継ぐ上でも、重要な役割を果たしています。
5. 消費税の課題と批判
一方で、消費税にはいくつかの課題や批判も存在します。例えば、低所得者層にとって負担が大きいとされることや、経済成長や物価上昇によって生活費が増えることが挙げられます。また、消費税の透明性や実施コストの問題も指摘されています。
6. 最近の動向
近年、諸外国において消費税の改革や調整が行われています。例えば、一部の国では消費税率の引き上げや範囲の拡大が行われています。また、一部の国では低所得者への補助制度の導入や特定の商品への軽減税率の適用など、社会的な配慮も行われています。
7. 結論
消費税は、世界中の国々で広く採用されている税制の一つです。その歴史と諸外国での比較を通じて、消費税の変遷と国際的な傾向を把握することは重要です。税率や税制の特徴は国によって異なりますが、公平性や経済の安定性を確保する上で一定の役割を果たしています。さらなる改革や調整が行われる中で、社会的な配慮や経済的な効果を考慮した税制の構築が求められるでしょう。
作成日:2023/06/28