消費税不正還付の防止 インボイス制度の適用により企業の取引履歴監視が容易に
消費税について事業者が商品を販売する際に受け取った額より、仕入れの際に支払った額が多い場合、
その差額が国から払い戻される還付制度があります。
この制度を悪用し、仕入れを過大に申告するなどの手口で、不正に還付を受ける事案が増加しています。
東京国税局は輸出商品への免税制度などを悪用した消費税の不正還付を防ぐため、全国で初めて対策本部を設置しました。
2022年9月30日に設置された消費税不正還付対策本部には東京国税局や税務署の職員ら100人以上が参加しています。
税務調査の結果、悪質だとして追徴課税された金額は、去年6月末までの1年間に、全国でおよそ34億円に上り、
刑事事件に発展したケースもあるといいます。
例えば昨年告発された近隣国企業では、日本国内で仕入れた商品を輸出すると、仕入れ時に消費税を支払う一方で、
輸出先からは消費税を受け取れません。
そのため税務署に申告すると、仕入れでかかった消費税分が還付されるといった仕組みを悪用していました。
東京国税局は、対応する担当官を大幅に増員するなどして、未然防止のための啓発や税務調査の態勢を強化する方針です。
ところで、2023年10月1日よりインボイス制度が導入されました。インボイス制度は、企業間の取引において、
販売者が正確な請求書(インボイス)を発行し、購入者がそれを保管することで、
消費税の支払いや還付に関する情報を記録する制度です。
インボイスには、販売者と購入者の詳細、商品やサービスの内容と価格、適用される消費税額などが含まれます。
インボイス制度により、税務当局は企業の取引履歴を容易に監視することができます。不正な請求や還付を検出するために、
税務当局はインボイスを検査し、必要に応じて企業の記録や取引の正当性を確認します。
また、消費税の支払いや還付においても、正確な情報に基づいて処理が行われるため、不正な行為を防止することが期待されます。