インボイス制度に関する取組事例
令和5年10月から消費税の制度を円滑に移行するにあたり、万全の準備を進める観点から、必要な取組みを行うために関係府省庁で会議が行われています。
この会議を「適格請求書等保存方式の円滑な導入等に係る関係府省庁会議」といいます。
この第3回会議において、まず、国税庁から下記のような「これまでの登録申請状況等」の報告がされています。
累計の申請件数 約370万件
うち課税事業者 約278万者程度(課税事業者約300万者の9割超)
免税事業者 約 92万者程度 ※ 推計値
そして、次の各府省庁からの報告の中で、国土交通省から次のような業界の取組事例が報告されています。
1. 個人タクシー
① 全国個人タクシー事業連合会及び日個連事業協同組合の加盟事業者の97%以上がインボイス登録済み(予定を含む)
② インボイス制度に対応したレシートを発行するためのシステム改修を実施
③ インボイス対応の可否が利用者に一目でわかるよう、ステッカーの貼付や表示灯の変更を実施
※ ステッカーの貼付例
課税事業者 : 個人 インボイス OK!
免税事業者 : このタクシーは、インボイス(適格請求書)を発行できません。
2. JR東日本
① 駅の窓口や、乗車券・特急券・定期券等の自動券売機において、インボイス制度に対応した領収証を発行できる端末を導入
② 「えきねっと」やモバイルSuicaにおいても、インターネット上でインボイス制度に対応した領収証を発行できるよう対応し、領収証の発行方法はホームページ上で周知
3. NEXCO東日本
① 料金所において、インボイス対応の領収証が発行できるシステムを導入
② ETC利用照会サービスにおいても、インター ネット上でインボイス制度に対応した利用証明書が発行できるよう対応し、領収証の発行方法はホームページ上で周知
※ NEXCO中日本、NEXCO西日本も同様の対応
4. その他
① 住宅生産団体連合会では、高齢化が進む一人親方等が、インボイス制度に対応できないことを理由に廃業を考えることがあってはならないとの問題意識の下、下請企業と共存共栄を図るための行動指針を策定し、公表
上記の行動指針を踏まえ、各会員企業において、下請企業に対して様々なサポートを実施。
・セミナーや個別相談会の開催、インボイス制度に関する動画の公開
・インボイス対応状況に関するアンケートの実施
・インボイス制度に係る相談窓口の設置
・下請企業に対するインボイス登録の強要など、不適切な行為に対する通報窓口の設置
② 佐川急便では、下請けの協力会社(法人・個人)に対して、インボイス制度の個別面談や説明会等を行い、周知・広報を実施。登録状況についてアンケートを実施
インボイス登録を行わない下請けの協力会社とは、下請法や独占禁止法を踏まえながら、 契約内容に関して丁寧な個別協議を進めていく予定。
以 上
インボイス制度の円滑な導入に向け、政府がインボイスを発行しない免税事業者や課税転換した事業者に対する支援策を設ける一方で、各業界も、こうした事業者が不利益を被らないよう取り組みを進めています。