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特許権の取得と減価償却費の計上タイミング

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Calendar Icon 2024.06.28

・特許権の重要性とその存続期間
製造業を営む企業にとって、特許権の取得は重要な戦略的投資です。しかし、その取得後の会計処理、特に減価償却費の計上タイミングについては、事業の用に供する時期が大きな影響を与えます。

・特許権とは
特許権とは、特許発明に対する独占的排他的な権利であり、特許庁に登録されることで発生します。特許権の存続期間は出願日から20年間です。この権利は企業にとって重要な資産であり、その価値は時間の経過とともに減少します。

・減価償却資産の定義と適用
法人税法上、減価償却資産とは、建物や機械、無形固定資産など、事業の用に供されるべき資産を指します。これらの資産は、使用が開始された時点(又は使用することが可能となった時点)で「事業の用に供した」とみなされ、減価償却が認められます。しかし、例えば設備が完成していない状態では、事業の用に供されていない場合、減価償却費は損金に算入されません。では、特許権のような無形資産の場合はどうでしょうか?

・無形減価償却資産の特別な扱い
特許権を含む無形減価償却資産については、特別な扱いがあります。法人税基本通達により、特許権などの工業所有権は、その取得日から事業の用に供されたものとみなされます。これは、先ほど説明した通り特許権が時間の経過とともに価値が減少し、存続期間の満了とともに権利が消滅するためです。このため、たとえ実際に使用していなくても、取得日から減価償却が認められます。

・実際の適用例
例えば、ある企業が新しい製品の製造に必要な特許権を取得したが、製造設備の建設が遅れてしまい今期までに製品を製造できなかった場合でも、特許権は取得日から減価償却費を計上することが可能です。

・まとめ
この取り扱いは、企業にとって重要な財務的利益をもたらします。特許権の減価償却費を早期に計上できることで、税務上の損金算入が認められ、企業の課税所得を減少させる効果があります。したがって、特許権の取得後の減価償却費の計上時期を適切に理解し、管理することは、企業が効果的な財務管理・財務戦略を行うことにおいて非常に重要です。

【関連情報】
– 法人税法第2条第23号
– 法人税法施行令第13条第8号
– 法人税基本通達7-1-6
– 特許法第2条、第66条、第67条、第68条