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永年勤続者表彰(課税されない経済的利益)

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Calendar Icon 2024.09.25

1 永年勤続者に対する表彰記念品支給の課税関係

 

 多くの会社で、永年にわたって勤務している人への表彰記念品等の支給が行われています。

 その支給について、現金や商品券などを支給する場合は、その全額が給与として課税されます。

 また、本人が自由に記念品を選択できる場合も、その記念品の価額が給与として課税されます。

 しかしながら、例外として次のような一定の要件を全て満たしていれば、給与として課税しなくても差し支えのないこととされています。

 

⑴ その人の勤続年数や地位などに照らして、社会一般的にみて相当な金額以内であること。

⑵ 勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること。

⑶ 同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること。

 

 永年勤続者の表彰のための記念品については、その支給が社会一般的に行われているものであり、また、その記念品は通常、㋑市場への売却性・換金性がなく、㋺選択性も乏しく、㋩その金額も多額となるものでないこと等から、現金による手当とは異なり、強いて課税しないこととされています。
 更に旅行クーポン券を支給した場合は相当の期間内(おおむね一年以内)に旅行をし、その旅行の事実が確認できることを備えていれば、旅行を支給したものとして課税しないこととされます。

 

2 定年退職者に対する海外慰安旅行についての課税関係

 

 定年退職者に対する海外慰安旅行の供与については、次の理由から、永年勤続者表彰制度と同様の内容に基づくものであり、社会通念上相当と認められるものについては課税されないものとして取り扱われ、それを上回るものについては全額が退職所得として課税されることとなります。

 

⑴ 永年勤続者表彰制度に基づき永年勤続者を旅行に招待した場合の永年勤続者の受ける経済的利益については、定年退職者の旅行がたまたま定年退職を機会として行われるからといって退職所得として課税することは必ずしも相当でないため。

⑵ 永年勤続者表彰旅行については、同一人が数回旅行をすることもあり得るのに対し、定年退職者旅行については、定年退職という通常は生涯に一回しかない機会をとらえて旅行をするものであることを考慮すると、前者を非課税として取り扱って、後者を退職所得として課税してはバランスを欠くと考えられるため。

 

3 まとめ

 

 永年勤続者に対する表彰のほか慶弔費や社内旅行などの経済的利益の課否判定については、『社会通念上相当と認められる・・・』とした範囲内であれば、課税しなくて差し支えないこととされています。

 しかしながら、社会通念上相当とはどれくらいの金額をいうのか、また同業種同規模の他社ではどのような福利厚生を設けているのかの情報入手は非常に困難なところであります。

 そこで、課税当局に対して、例えば社内規定(役員以下の全社員が対象)を設けて地位や勤続年数等に基づいて公平に支出しているなど、一定の者に対してのみ偏りのない支出であることがわかる備えが必要と思われます。

 そして、支出する金額の妥当性については十分に検討する必要があると考えられます。

 

【関連情報】

《参照法令等》所得税基本通達36-15

所得税基本通達36-21