契約金額を変更する契約書の記載金額
現契約書に記載した金額を変更する契約書を作成した場合、印紙税額がいくらになるのか重要な問題です。
印紙税は主に、それぞれの契約文書の記載金額によって印紙税額が決まるため、契約金額の変更がどのように記載されているかにより印紙税額に直接影響します。
現契約書が存在すれば金額を変更する契約書には印紙税は必要ない、又は、現契約書と同額の印紙税額を貼付するなどと、迷われる方もおられるのではないでしょうか。
特に、変更前の現契約書に契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかか否かにより、取り扱いが異なる点に注意が必要です。
1 変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかな場合
変更契約書に『当初の契約金額は90万円であったが、これを110万円に変更する』と記載されていた場合、この文書は、増加分の20万円が記載金額として扱われます。これは、変更前の金額と変更後の金額が明確に示されており、その差額が明確なため。
また、変更契約書に『当初の契約金額は90万円であったが、これを20万円減額する』と記載されていた場合、変更前の契約金額が減少するため、印紙税の課税対象となる記載金額のない文書となります。
一方、変更後の金額のみが記載され、変更前の金額が明示されていない場合には、記載金額としては変更後の金額がそのまま適用されます。
たとえば、『当初の契約金額を90万円に変更する』とだけ記載されていた場合、その90万円が記載金額となります。
2 変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかでない場合
この場合、変更後の金額が記載されていた場合は、その金額が記載金額として扱われます。
たとえば、『契約金額を110万円に変更する』と記載されていた場合、その110万円が記載金額となります。
また、変更金額のみが記載されていた場合、たとえば『20万円増額する』とだけ記載されていた場合は、その増額分の20万円が記載金額となります。
《小括》
これらの取り扱いにおいて重要なのは、契約金額がどのように記載されているかを明確にすることです。契約書に記載された金額が曖昧であると、不要な印紙税額を課されるリスクがあります。
また、変更前の契約書が存在する場合、その契約書を特定できる情報を変更契約書に記載することで、適切な印紙税の課税が行われるようになります。
《まとめ》
実務の現場では、契約書を作成する際に、これらの取り扱いを十分に理解し、正確に文書を作成することが求められます。契約内容が複雑になるほど、記載金額に注意が必要です。
印紙税の適用について誤解が生じないよう、法律やガイドラインに基づいて正確に対応していきたいものです。
《根拠法令等》
印法通則4二
印通則30