2024(令和6)年度から新たな国税の導入【森林環境税】

1 森林環境税とは
森林環境税とは、森林の適切な管理と整備を進めるための地方財源を確保する目的で創設された税制度です。2024(令和6)年度から、国内に住所を有する個人に課せられる国税であり住民税の均等割に一人年額1,000円が上乗せされる形で賦課されます。その税収の全額が国によって森林環境譲与税として都道府県・市町村へ譲与されます。
2 創設の経緯
森林環境税の創設の経緯には、いくつかの重要な背景と課題に基づいています。
① 森林の重要性
森林は、国土の保全、水源の維持、地球温暖化の防止、生物多様性の保全など、多くの機能を持っています。しかし、林業の担い手不足や所有者不明の森林の増加により、適切な管理が難しくなっています。
② 温室効果ガス削減目標
パリ協定の枠組みの下で、日本は2030年までに温室効果ガスを46%削減する目標を掲げています。この目標達成には、森林のCO2吸収能力の維持・強化が不可欠です。
③ 災害防止
森林は土砂崩れや洪水の防止に重要な役割を果たしています。適切な森林整備を行うことで、これらの災害リスクを低減することができます。
④ 法律の成立
これらの背景を受けて、2019(令和元)年3月に「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」が成立し、2019(令和元)年度から森林環境譲与税が施行され、2024(令和6)年度から森林環境税が導入されることが決定されました。
3 目的と使い道
森林環境税は、その全額が「森林環境譲与税」として都道府県・市町村に配分され、次の費用に充てられます。都道府県・市町村は、インターネットなどを利用してその使い道を公表しなければない義務があります。
① 森林整備
間伐や除伐、再造林などを行い、森林の健康を保つための活動や社会的な課題への対応として、花粉発生源対策としてのスギの植替え、道路や電線等のインフラ施設周辺の森林整備
② 人材育成・確保
林業に従事する人材育成・担い手の確保を支援するための研修の実施、林業に必要な技能講習経費への助成等
③ 木材利用促進
地元産木材の利用を推進し、地域経済の活性化を図るための取り組み
④ 環境保全
土砂災害の防止や地球温暖化対策としての森林の役割を強化するためのプロジェクト
⑤ 普及啓発活動
都市部の子どもたちが植林体験を行う活動や、公共施設での木製備品の購入活動など
活動や支援を通じて、森林の保全と持続可能な利用を目指しています。
4 まとめ
森林は、地球温暖化の防止や国土の保全など、様々な機能により私たちの暮らしを支えています。
国民一人ひとりが、森林環境税を通じて地球環境の重要性を考えては、いかがでしょうか。
森林環境税は国内の森林整備等のための重要な財源となっています。国民一人ひとりに対して課税される税金のため、概要を理解し税金がどのように活用されているか関心を持つきっかけとなる税金の一つではないでしょうか。