社長のための財務 回転率は経営効率のバロメーター

企業の収益力を高める視点として、棚卸資産回転率、売上債権回転率、固定資産回転率についてみていきます。
棚卸資産回転率
棚卸資産回転率とは、企業が保有する在庫が一定期間内に何回転したかを示す指標です。
この指標は、企業の在庫管理能力や効率を評価する際に使用されます。棚卸資産回転率が高いほど、在庫が迅速に売れていることを示し、効率的な在庫管理が行われていると考えられます。一方、低い回転率は休眠在庫や不良在庫が発生している可能性が高いと言えるため、早急に確認する必要があります。
棚卸資産回転率の計算式は次のとおりです
棚卸資産回転率=売上高÷棚卸資産
売上債権回転率
売上債権回転率は、企業が売掛金を回収できているかを示す指標です。
この指標は、企業の資金繰りの健全性を測る際に重要です。売上債権回転率が高いほど、売掛金の回収が迅速であり、資金繰りが良好であることを示します。一方、低い回転率は回収の遅延を示し、営業担当者が(成績を上げるために)無理な販売をしているケースや、取引先の業績悪化などで取引条件通りの回収ができなくなっている等の可能性があります。
売上債権回転率の計算式は次のとおりです
売上債権回転率=売上高÷売上債権 (売上債権=受取手形+売掛金)
固定資産回転率
固定資産回転率は、企業の固定資産が売上にどれだけ貢献しているかを示す指標です。
この指標は、企業が保有する固定資産(建物、機械、設備など)をどれだけ効率的に利用しているかを評価する際に使用されます。固定資産回転率は、一般に、設備投資額の少ない商業では高く、設備投資額の多い製造業では低くなる傾向にあります。固定資産回転率が高いほど、固定資産が効果的に利用され、売上に寄与していることを示します。一方、低い回転率は固定資産の過剰保有や非効率な運用を示唆することがあります。
固定資産回転率の計算式は次のとおりです
固定資産回転率=売上高÷固定資産
最後にそれぞれの回転日数についてご紹介します。
棚卸資産回転日数
仕入を行い、売上が発生するまでの平均日数で「365日÷棚卸資産回転率」で求められます。
売上債権回転日数
売上が発生してから販売代金を回収するまでの平均日数で「365日÷売上債権回転率」で求められます。
固定資産回転日数
固定資産が使用され、売上が発生するまでの平均日数で「365日÷固定資産回転率」で求められます。
これらの回転率は、企業の効率性や財務状態を評価するための重要な指標です。各指標を適切に理解し、活用することで、企業の経営改善や資金繰りの向上に役立てることができます。