蛍光灯をLEDに交換 「修繕費?」「資本的支出?」

オフィスや工場などで使用している照明器具を「蛍光灯」から「LED照明」に交換するケースが増えています。LED照明は電気代の削減やメンテナンスの手間が少ないというメリットがあり、環境面・経済面の両方で注目されています。
この交換工事の費用が「一括で損金計上できるのか?」という点は、事業者にとって重要な問題であり、固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち、価値を高め又は耐久性を増すと認められる部分に対応する金額は資本的支出となり、数年に分けて償却するこが必要となります。
修繕費と資本的支出
修繕費とは、固定資産の通常の維持管理や、損傷した部分の原状回復のために支出される費用です。これらの支出は、資産の価値や耐久性を向上させるものではなく、あくまで現状を維持するためのものとされています。そのため、修繕費は支出した事業年度の必要経費として一括で損金計上が可能です。
資本的支出とは、固定資産の価値を高めたり、使用可能期間を延長させたりするために行われる支出です。これらの支出は、資産の性能や機能を向上させるものであり、新たな資産の取得や改良とみなされます。そのため、資本的支出は固定資産として計上され、耐用年数に応じて減価償却を行う必要があります。
国税庁の見解
国税庁の質疑応答事例の回答要旨では、蛍光灯をLEDに変えることで、節電効果や使用可能期間などが向上している事実をもって、固定資産の価値を高め又はその耐久性を増しているとして資本的支出に該当するのではないかと考えられるが、照明設備がその効用を発揮するためのひとつの部品と位置づけ、その部品の性能が上昇したことをもって照明設備としての価値が高まったとは言えないという理由で、修繕費として処理することが相当としている。
※ 取り替えの概要に「建物の天井ピットに装着された照明設備(建物附属設備)については、特に工事は行われていない」としているコメントに注意が必要と思われる。
まとめ
LED化は省エネ・経費削減に直結する賢い選択ですが、修繕費又は資本的支出に該当するかで処理が大きく異なることから、金額のみで判断せずに取り換え工事の内容を詳細に確認する必要が求められる。
《関係法令通達》
所得税基本通達37-10、37-11
法人税法施行令第132条
法人税基本通達7-8-1、7-8-2
耐用年数の適用等に関する取扱い通達2-2-2