在宅ワークや家内労働者に使える経費の特例とは?

事業所得又は公的年金等以外の雑所得は、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算することになっています。しかし、家内労働者等の場合には、必要経費として55万円(令和元年分以前は65万円)まで認められる家内労働者等の所得計算の特例があります。
家内労働者等とは、家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする者をいいます。
1 家内労働者に認められる例
友人が経営する「音楽教室」において、その教室に属する生徒に演奏を教え、その友人から実績に応じて支払いを受ける。
※ 人的役務に提供先が友人に限定され、特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行う業とする人に該当する。
2 家内労働者に認められない例
自宅の一室を利用し生徒を募集して「ギター教室」を開設し、その生徒にギター演奏を教え、各生徒から実績に応じて支払いを受けている。
※ ギター教室を経営し不特定の者を相手に教えているので、家内労働者等に該当しない。(自分で広くお客さんを集めるビジネス(ピアノ教室や個人レッスンなど)は対象外となるため注意が必要です。)
3 その他の例
センターから仕事を請ける(シルバー人材センター)高齢者は対象になりますが、公的年金等以外の個人年金収入などの収入状況によっては適用できない場合があります。
4 当初申告で所得の計算の特例を適用していない場合
家内労働者等の所得計算の特例は申告要件とされていないため、当初申告において当該特例が適用されるにもかかわらず適用しなかった場合には、更正の請求をすることができます。
5 まとめ
家内労働者等の所得計算の特例では、在宅ワークやシルバー人材センターの仕事など、特定の相手から継続的に仕事を受けている人が使える制度です。
実際の経費が少なくても、一律55万円(令和元年分以前は65万円)まで経費にできるため、節税につながる可能性があります。
《参考法令》
所得税法27、35
租税特別措置法27
租税特別措置法施行令18の2