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個人事業主の事業用固定資産売却に注意、事業用資産でも「譲渡所得」がポイント

コラム
Calendar Icon 2021.04.15
個人事業主の事業用固定資産売却に注意、事業用資産でも「譲渡所得」がポイント

個人事業主が「事業用固定資産」を売却すれば、もちろん確定申告の際に申告が必要になりますが、注意したいのは所得区分です。法人の場合は、売却益を「固定資産売却益」に計上するだけですが、一方、個人事業主の場合は、たとえその固定資産が事業用資産の場合であっても、原則、事業所得ではなく「譲渡所得」となるのがポイントです。譲渡所得の計算式は「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額50万円」となります。
ただし、使用期間が1年未満の減価償却資産や取得価額が10万円未満の減価償却資産、取得価額が20万円未満で取得の時に一括償却資産の必要経費算入の規定の適用を受けたものなどは事業所得となります。基本的には動産の譲渡による所得は総合課税での譲渡所得になりますが、生活に通常必要な動産の譲渡には課税されません。
また、事業用の車を売却した場合などは、プライベートで使用していた部分を考慮する必要があります。例えば、その売却した車の事業専用割合を70%で必要経費に算入していたケースでは、売却価格の70%が譲渡所得の対象となります。30%に対しては生活用動産として課税はされませんが、譲渡損失が出たとしても、その損失はないものとみなされ、損益通算に使うことができません。譲渡所得の取得費の計算は、取得価格から減価償却費累計額を控除した金額に事業専用割合の70%を乗じた金額になります。
ところで、消費税の課税事業者であれば消費税の取扱いがあります。消費税の課税対象となる取引は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等なので、上記の例であれば、事業専用割合70%部分は消費税法上の課税売上になります。そして、譲渡所得を計算する際の消費税の取扱いについては、その資産をその用に供していた事業所得を生ずべき業務に係る取引について選択していた消費税等の経理処理と同じ経理処理を行います。

消費税の経理処理

事業所得について税抜経理方式を選択していた場合には譲渡所得の金額計算も税抜経理方式で行います。例えば、車を税込110万円で売却した場合は、事業専用割合70%の77万円の税抜価格の70万円が譲渡所得計算上の譲渡価格で、70万円が消費税法上の課税売上です。なお、譲渡所得には特別控除の50万円が適用されるので、車を売却しても課税対象となる金額まで譲渡所得が発生することは少ないとみられます。