コロナ税特法の欠損金繰戻し還付の特例 2023年1月末までに生じた欠損金に適用
青色欠損金の繰戻し還付制度とは、青色申告書を提出する法人について、その確定申告書を提出する事業年度において生じた欠損金額がある場合に、その法人の請求によりその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に繰り戻して法人税の還付を受けることができる制度です。
前年度は黒字だった法人が、景気低迷などにより経営悪化して当年赤字となった場合、前年度に納付した法人税の還付を受けることができます。
ただし、資本金の額が1億円を超える法人については、青色欠損金の繰戻し還付制度を適用できないこととされています。ところが、新型コロナ税特法により、資本金1億円超10億円以下の法人は青色欠損金の繰戻し還付を受けることが可能となっています(「欠損金の繰戻しによる還付の特例」)。この特例は、2020年2月1日から2023年1月31日までの間に終了する事業年度に生じた欠損金額について適用されます。
新型コロナウイルス感染症の影響により損失が発生した場合には、災害損失欠損金の繰戻し還付制度を受けられる場合があります。同制度は、災害のあった日から同日以後1年を経過する日までの間に終了する各事業年度又は災害のあった日から同日以後6月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失欠損金額を、過去に繰り戻して(青色申告書提出法人は2年前まで)法人税の還付を受けることができます。
今回の新型コロナウイルス感染症の影響による、例えば、飲食業者等の食材の廃棄損、感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損、施設や備品などを消毒するために支出した費用、感染発生の防止のため配備するマスク・消毒液・空気清浄機等の購入費用、イベント等の中止により廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損、のような費用や損失は、災害損失欠損金に該当することとなります。
新型コロナ税特法の特例は、以下の法人が適用対象から除かれます。それは、(1)大規模法人(資本金の額又は出資金の額が10億円を超える法人や相互会社及び外国相互会社、受託法人)や(2)大規模法人との間にその大規模法人による完全支配関係がある普通法人、(3)100%グループ内の複数の大規模法人に発行済株式又は出資の全部を直接又は間接に保有されている普通法人、(4)投資法人、(5)特定目的会社です。