昨年の12月20日、自民公明の両与党は令和７年度の税制改正大綱を決定しました。
焦点となっていたいわゆる“年収の壁”に関して基礎控除についてはその上限を10万円引き上げ、給与所得控除は55 万円の最低保障額を65 万円に引き上げます。これらの適用は令和７年分以後の所得税について適用します。基礎控除と給与控除最低額を合わせた103万円の壁は大綱では123万円に拡大しますが、「引き続き関係者間で協議を進める」とされたことで今後の行方が注目されます。
また、親の扶養控除から外れることで大学生のアルバイトの抑制につながると指摘されたことから特定親族特別控除（仮称）を新たに設けます。大学生年代（19歳から22歳）の子らの給与収入ベースで150万円、合計所得金額85万円までは、現行と同じく控除が受けられ、これを超えた場合でも親らの控除額を段階的に逓減する仕組みをとることとしています。こちらも令和７年分以後の所得税について適用されます。
個人の住民税でも所得税の見直しに関係し、各所得控除の見直しを図り、令和８年度分の住民税から適用されます。
相続税及び贈与税の関係では、直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の適用期限が２年延長され、非上場株式等に係る贈与税の納税猶予の特例制度における役員就任要件が見直されます。令和７年１月１日以後に贈与取得する財産に係る贈与税について適用されます。
また、企業税制では、中小企業者等の法人税の軽減税率の特例として所得金額が年10億円を超える事業年度について、年800 万円以下の金額にかかる税率が15％から17％に引き上げられ、令和７年４月１日以後に開始する事業年度より適用されます。
その他、中小企業経営強化税制の見直しや制度の期限延長などが図られています。

与党が次年度の税制改正の具体的な制度内容をとりまとめたもので、各種団体や省庁からの要望等を踏まえそれぞれの与党の議員メンバーで構成される税制調査会で審議し毎年12月中旬に公表されます。これを踏まえた「税制改正の大綱」が閣議決定、法案化され１月からの通常国会の審議成立をもって、各法案の施行日から新税制が適用されます。これとは別に政府税制調査会があり、中長期的視点から税制のあり方を検討しています。