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国外財産調書の総額8兆円を超え過去最高 海外投資等を行う富裕層に厳しい監視の目

コラム
Calendar Icon 2026.03.25

相続した財産の中で外国の資産があっても把握できないと思われる向きもあるかもしれませんが、国税当局は金融機関・納税者に提出が義務付けられている調書や外国税務当局との情報交換を通じて海外資産の状況把握を進めています。

国税庁の最近の資料によると、令和6年分の国外財産調書の総財産額は前年分と比べ1兆 7,048億円増えて8兆1,945億円(前年比26.3%増)、総提出件数は1万4,544件(同9.8%増)でいずれも過去最高を記録しています。

総財産額の内訳を見ると、有価証券の割合が最も高く、5兆4,817億円(同34.0%増)と全体の66.9%を占めています。ついで預貯金が8,817億円、建物 5,397億円、貸付金 2,618億円、土地 1,686億円などとなっています。

国税庁では、近年の市場株価が上昇傾向で保有する有価証券の価額が上昇したことや円安基調など為替の影響なども要因とみているもようです。

調書を提出すれば事足りるわけではなく、調査追徴される例もあります。調書に海外金融機関の預金口座の記載があったものの利子等の申告がないことから調査を行い、利子や円転換した際の為替差益の申告漏れを5年分約1億円の個人の所得を把握、約2,000万円を追徴された事案もありました。

このほか、国税庁では、海外投資を行っている個人や海外資産を保有している個人などに対して、国外送金等調書、租税条約等に基づく情報交換制度のほか、CRS情報(共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報)なども活用し、海外取引や海外資産関連収入の把握と調査に積極的に取り組んでいるとしています。特に、海外投資等を行っている「富裕層」に対する監視の目も厳しくなっています。海外投資した富裕層に対する調査の1件当たりの追徴税額は1,595 万円で、所得税の実地調査全体の 299 万円に比べても5倍以上となっており(令和6事務年度所得税及び消費税調査等の状況)、当局でも注視しているもようです。国外の保有や取引資産についても安易な判断は禁物です。

国外財産調書制度

その年の12月31日時点で保有する国外財産の合計額が5,000万円超の居住者(非永住者を除く)について、翌年6月30日までにその国外財産の種類、数量、価額その他必要事項を記載した国外財産調書の提出を義務付けている制度です。平成25年分から導入されており、枚数、総額とともに年々増加しています。なお、調書に記載された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときは、加算税を軽減する措置も設けられています。