いよいよ動き出す税務関係書類の押印廃止 4月から適用も確定申告書への押印不要
政府は昨年12月21日に2021年度税制改正大綱を閣議決定しましたが、これにより注目の「税務関係書類の押印廃止」がいよいよ動き出すことになりました。
大綱には、納税環境整備の一環として、税務関係書類における押印義務の見直しが明記されています。押印義務については、国税通則法において納税手続きの際に必要な書類について原則、押印を求めていますが、この規定を改めています。
具体的には、提出者等の押印をしなければならないこととされている税務関係書類について、一定の税務関係書類を除き押印を要しないこととするというものです。
ここでいう「一定の書類」とは、(1)担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類、(2)相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類です。
押印不要の対象には、所得税の確定申告書や法人税申告書、消費税申告書、相続税申告書をはじめ各種届出書も含まれているため、税務シーンに大きな影響を及ぼすことになるのですが、ここで注目されているのが適用関係についてです。
押印原則不要の改正は、2021年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用することとされていますが、大綱には注意書きがあります。そこには、「改正の趣旨を踏まえ、押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めないこととする」と明記されています。
つまり、対象となる税務関係書類については施行日前であっても押印を求めないということになります。この押印不要の取扱いは、実質、2月16日から始まる所得税等の確定申告からスタートするといっていいでしょう。
閣議決定を受け、国税庁は「税務署窓口における押印の取扱い」の情報を公開。「この閣議決定に基づき、全国の税務署窓口においては、本件見直しの対象となる税務関係書類について押印がなくとも改めて求めない」としています。なお、この税務書類の押印不要の取扱いは、地方税においても、提出者等の押印をしなければならないこととされている地方税関係書類について、押印を要しないこととされています。