土地や建物を交換したときの圧縮記帳適用、対象となる交換は6つの条件が必要!
法人税法上、交換は交換譲渡資産の時価を対価とする譲渡取引とされるため、その資産の時価と帳簿価額との差額は譲渡益として課税されます。しかし、法人が同じ種類の固定資産を交換により取得した場合において、圧縮限度額の範囲内で、取得した資産の帳簿価額を損金経理により減額したときは、その減額した金額を損金の額に算入する圧縮記帳の適用を受けることができます。
この圧縮記帳の対象となる交換は、次の全ての条件に該当する交換です。(1)交換により譲渡する資産と取得資産が、土地と土地、建物と建物のように互いに同じ種類の資産(建物とともに交換する建物に附属する設備や構築物は建物と一体となって交換される場合に限りその建物に含まれる)。(2)譲渡資産も取得資産もいずれも固定資産(不動産業者などが販売目的で所有している土地、建物などの棚卸資産を交換した場合には、対象とならない)。
さらに、(3)譲渡資産も取得資産も、いずれもそれぞれの所有者が1年以上所有していたもの。(4)取得資産は、相手方が交換するために取得したものでないこと。(5)取得資産を譲渡資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。 (6)交換した時における取得資産の価額(時価)と譲渡資産の価額(時価)との差額が、これらの価額のうちいずれか多いほうの価額の20%相当額を超えないこと。以上の全てが条件となります。
交換による圧縮限度額の算式は、交換差金等がない場合は「取得資産の価額-(譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額+譲渡経費の額)」。交換差金等を受け取った場合は「取得資産の価額-(譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額+譲渡経費の額)×取得資産の価額/(取得資産の価額+交換差金等の額)」。交換差金等を支払った場合は「取得資産の価額-(譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額+譲渡経費の額+交換差金等の額)」、となります。
「交換差金等」とは、交換の時における取得資産の価額(時価)と譲渡資産の価額(時価)とが同額でない場合にその差額を補うために授受される金銭等をいいます。交換差金等の額が交換により取得する資産の価額(時価)と交換により譲渡する資産の価額(時価)のいずれか多いほうの価額の20%相当額を超える場合には、交換により取得した資産の圧縮記帳の適用を受けることはできませんので注意が必要です。