源泉所得税等の納付期限と納期の特例 要件に該当しなくなった場合に注意!
源泉所得税等の納付期限と納期の特例は、原則毎月の源泉所得税の納税を、納期の特例の適用を受ければ年2回で済ませることができるので、メリットは大きいです。
しかし、注意点も少なくありません。それは、給与の支給人員が常時10人以上となり、源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなった場合は、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなったことの届出書」の提出が必要となることです。この届出書を提出した場合には、その提出した日の属する納期の特例の期間から所得税法第216条に規定する納期の特例の承認の効力が失われます。なお、適用要件を満たしていても、任意に納期の特例の適用を取りやめることも可能です。
また、会社を設立したケースでは、設立後すみやかに「納期の特例の承認に関する申請書」を提出していたとしても、設立した月の給与に関する源泉所得税等について納期の特例を適用することができません。納期の特例の適用を受ける前の源泉所得税は、原則どおり、支払った月の翌月10日までに納税しなければなりません。これを忘れると、期限までに源泉所得税を納めなかったとして、不納付加算税が課される可能性があるため、注意が必要です。
この特例を受けるためには、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することが必要です。この納期の特例申請書の提出先は、給与等の支払を行う事務所などの所在地を所轄する税務署長となっています。また、この特例の対象となるのは、給与や退職金から源泉徴収をした所得税等と、税理士、弁護士、司法書士などの一定の報酬から源泉徴収をした所得税等に限られています。
なお、源泉所得税の納期の特例の適用を受けることができるのは、給与等の支払を受ける役員や従業員などの人数が常時 10 人未満である源泉徴収義務者ですが、ここでの「常時」とは、平常の状態を指しています。つまり、繁忙時期に臨時に雇用して人数が増える場合は、その人数を除いて判断することになります。
源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、原則、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに納める必要がありますが、給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は、源泉徴収した所得税等を、半年分まとめて納めることができる納期の特例があります。その年の1月から6月までに源泉徴収した所得税等は7月10日、7月から12月までに源泉徴収した所得税等は翌年1月20日が、納付期限となります。