所得税法など23年度税制改正法案が成立 NISAの抜本的拡充・恒久化が中心に
2023年度税制改正における所得税法等の一部を改正する法律案及び地方税法等の一部を改正する法律案が3月28日、参院本会議で賛成多数で可決、成立しました。両法律案は、一部を除き、2023年4月1日から施行されました。
所得税法等の一部を改正する法律案は、家計の資産を貯蓄から投資へと積極的に振り向け、資産所得倍増につなげるため、NISAの抜本的拡充・恒久化を行うとともに、スタートアップ・エコシステムを抜本的に強化します。
個人所得課税では、NISA制度の抜本的拡充・恒久化として、年間投資上限額を拡充(「つみたて投資枠」:120万円、「成長投資枠」:240万円)し、一生涯にわたる非課税限度額(1800万円)を設定(うち「成長投資枠」は、1200万円)、非課税保有期間を無期限化します。スタートアップへの再投資に係る非課税措置を創設し、保有株式の譲渡益を元手に創業した場合に、出資分につき株式譲渡益に課税しない制度(上限20億円)とします。
そのほか、極めて高い水準の所得について最低限の負担を求める措置を導入。基準所得金額から3.3億円を控除した金額に、22.5%の税率を乗じた金額が基準所得税額を超過した差額の追加的な申告納税を求めます。
資産課税では、資産移転の時期の選択により中立的な税制を構築するため、相続時精算課税の基礎控除を創設、暦年課税における相続前贈与の加算期間を延長します。
法人課税では、研究開発税制について、税額控除率を見直すとともに、税額控除上限を変動させる仕組みを導入し、また、特別試験研究費の対象費用に博士号取得者等の人件費を追加します。オープンイノベーション促進税制については、M&Aにより取得した一定の株式を対象に追加します。
消費課税では、適格請求書等保存方式の円滑な実施に向けた所要の措置や、承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例措置の創設、エコカー減税の延長・見直しなどがあります。
生前贈与でも相続でもニーズに即した資産移転が行われるよう、相続・贈与に係る税負担を一定にしていくため、資産課税の見直しが行われました。相続時精算課税制度については、相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与を受けた場合において、現行の暦年課税の基礎控除とは別途、毎年110万円の基礎控除が設けられます。なお、上記見直しは、2024年1月1日以後に受けた贈与について適用されます。