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脚光を浴びるクラウドファンディング 新たな資金調達による税務上の取扱に注意

コラム
Calendar Icon 2025.03.25
脚光を浴びるクラウドファンディング 新たな資金調達による税務上の取扱に注意

有望と思われるアイデアを事業化するための手段としてクラウドファンディング(CF)が注目を集めています。現在の国内市場規模は約2千億円と言われ、今後も益々活用の幅が広がると予想されています。
ただ、CFを導入するに当たり注意が必要なのが、税務上の取扱いです。調達した資金は原則として収益とされ、課税対象になります。
CFには出資者に対するリターンとして商品やサービスを提供する「購入型」や「寄付型」等がありますが、法人が最も利用している前者では、収益計上のタイミングが間違いやすいです。
資金の入金とリターンの提供は法律的には売買契約であり、会計処理の際には、入金時点では「前受金」、リターン提供時点で本業に伴う収入なら「売上高」、関係のないものであれば「雑収入」として処理することになります。リターン提供後に振替処理を失念して決算期をまたいでしまい、法人税の申告において、本来はリターン提供時に計上すべき「売上高」にかかる所得漏れを税務署から指摘されるケースが増えています。
また、消費税の免税事業者(課税売上高1千万円以下)や簡易課税事業者(同5千万円以下)がこの誤った処理を行った場合には、売上計上が前期に前倒しになり、その売上高が制度上の基準額を超えてしまった場合には、消費税の計算方法が変わり、免除されていた多額の消費税を納付する事態に陥るリスクがあります。
CFを利用するには専門ウェブサイトを介することになり、調達した資金はサイト運営者から手数料を差し引かれた残額を受取る仕組みです。収益としては天引きされた手数料を加算して計上する必要があるなど、税務上の注意点が多いです。
これからも一層の拡大が予想されるCFですが、税務署から見れば、その実績はすべてネット上に残るものであることから、取引の実態の把握が極めて容易になり、税務調査での効率的な活用が見込まれます。CFの導入にはくれぐれも慎重を期したいところです。

クラウドファンディング

インターネットを介して不特定多数の出資者を募る仕組みで、支援を仰ごうという法人や個人は資金の使途や目標額を専門ウェブサイト上で公開し、その内容に共感した支援者は同じくネットを介して資金を提供します。出資者に対するリターンがある「購入型」とリターンを必要としない「寄付型」の2形態が主流になっています。また、個々のCFの実績は同じくネット上で公表されます。アイデア次第では多額の資金調達も可能になります。