AI活用で直近10年最多の追徴税額!令和6年度法人税等調査事績の概要
国税庁は令和6事務年度の法人税等の調査事績を明らかにしています。それによると、法人税、法人消費税、源泉所得税の追徴税額の総額は3,811億円となり、直近10年で最高値となっています。AIも活用し、収集した資料情報等や申告書の分析・検討を行うことで調査必要度の高い法人を的確に抽出でき、実地調査をおこなった成果としています。法人税と消費税の実地調査の件数は前年度に比べ7.4%減少した5万4,000件であり、申告漏れ所得金額の総額は同じく15.8%減の8,198億円となっています。ただ、実地調査による追徴税額の総額は3,407億円で前年度に比べ6.6%増加しており、調査1件当たりの追徴税額は634万2,000円で、直近10年では2番目の高水準となっています。また、源泉所得税の実地調査の件数は6万4,000件(対前年比6.7%減)で、源泉所得税等の非違があった件数は2万1,000件(同 5.1%減)でした。実地調査による追徴税額の総額は前年度に比べ7.8%増えて404億円 、調査1件当たりの追徴税額は直近10年で最高値の63万3,000円(同15.6%増)でした。当局では、AIを活用した予測モデルにより調査必要度の高い法人の抽出と不正パターンを判定し、これに調査官の知見を組み合わせることで、より効率的で精度の高い調査を実施しています。このほか、国税庁では消費税還付申告法人、海外取引法人等、無申告法人への対応を重点課題として位置付けており、実地調査に臨んでいます。消費税還付申告法人については、総額299億円の消費税を追徴、海外取引に係る申告漏れ所得2,096億円を把握し72億円の源泉徴収漏れを追徴したほか、無申告法人についても総額355億円の法人税・消費税を追徴し不正計算に係る追徴税額は228億円にのぼっています。同庁は、こうした消費税制度を悪用した不正還付申告、各国の税制の違いを利用した租税回避や無申告に対して今後も警戒の目を光らせています。
従来からの運用上の取扱いを現在は法令上も明確にされています。税務調査に先立ち、課税庁が原則として事前通知を行うこととなっています。ただし課税の公平確保の観点から一定の場合には事前通知を行わないこととされています。その通知の方法は法令上は規定されていなく、原則として電話により口頭で行うこととしています。また、調査終了時の手続や、納税者から提出された物件の預かり手続も明確化されています。