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事業承継動向“脱ファミリー化”進む 後継者不在率は52.1%で過去最低を記録

コラム
Calendar Icon 2025.05.15
事業承継動向“脱ファミリー化”進む 後継者不在率は52.1%で過去最低を記録

中小企業を中心に後継者不足問題が深刻化する中、後継者がいない企業の割合は全体の52.1%で、7年達続で前年の水準を下回り、2011年の調査開始以降で過去最低となったことがわかりました。
これは、帝国データバンク(TDB)が行った全国の後継者不在率の動向調査で明らかとなったものです(調査期間:2022年10月~2024年 10月)。
対象となったのは、全国の全業種約27万社で、そのうち後継者が「いない」または「未定」とした企業は14万2千社でした。コロナ前の2019年に比べても13.1ポイント低下し改善傾向が続いています。
TDBでは「事業承継に関する官民の相談窓口の全国普及、プル・プッシュ型の各種支援メニューの拡充により小規模事業者にも門戸が広がったことや自治体・地域金融機関などが事業承継を呼びかけるアナウンス効果も加わり、事業承継の重要性が広く認知・浸透したこと」が大きく影響したとしています。
業種別の後継者不在率を見ると、2011年以降の調査期間で初めて7業種(建設、製造、卸売、小売、運輸・通信、サービス、不動産)すべてで不在率60%を下回っています。不在率が最も高かったのは建設業(59.3%)、最も低いのは製造業(43.8%)でした。
事業承継の動向としては、2020年以降の過去5年間で代表者の交代が行われた企業のうち、2024年の速報値の段階ながら、血縁関係によらない役員・社員を登用した「内部昇格」によるものが 36.4%に達し、これまで事業承継の形式として最も多かった「同族承継」(32.2%)を上回っています。また、買収や出向を中心にした「M&Aほか」(20.5%)、社外の第三者を代表として迎える「外部招聘」(7.5%)なども増加傾向が続いていることから、日本企業における事業承継は、身内の登用など親族間承継から社内外の第三者へと経営権を移譲する「脱ファミリー化」の動きが加速していると言えるでしょう(TDB)。

後継者難倒産

後継者不在により事業継続が困難になった「後継者難倒産」は2024 年1~10 月で 455 件発生し(TDB集計)、過去最多だった前年同期と同水準で推移しています。特に、代表者の病気または死亡により事業が立ち行かなくなり倒産に至ったケースは189件にも上り、全体の4割を超えています。TDBは「承継完了が間に合わずに事業継続を断念するケースも目立ち、後継者難倒産が今後も発生する可能性が高い」との見解を示しています。