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コロナ禍で定期同額給与の減額は可能か? 損金算入できる「業績悪化改定事由」とは

コラム
Calendar Icon 2022.06.06
コロナ禍で定期同額給与の減額は可能か? 損金算入できる「業績悪化改定事由」とは

新型コロナウイルス感染症の影響で企業業績は引き続き厳しい状況が続いています。業績が悪化した場合の対応策の1つとして考えられるのが、役員報酬の減額ですが、法人が役員に対して支払う給与は、「定期同額給与」や「事前確定給与」、「業績連動給与」以外は損金処理が認められていません。
役員報酬の減額は利益操作につながる恐れもあるため、厳しく規制されており、通常、役員給与の減額部分は損金(経費)にすることができません。
例えば、定期同額給与は、支給時期が1ヵ月以下の一定の期間ごと(例えば毎月)の給与で、その事業年度の毎回の支払額が同額のものをいいます。給与額を変更した場合には、原則、事業年度開始から3ヵ月以内に給与額を改めた場合は、「定時改定」とされ、増額分を含めて全額を損金算入できますが、年度開始から3ヵ月を越えて増額・減額した場合には、その「差額」は損金算入できないこととされています。
したがって、新型コロナウイルスの影響で業績が悪化しても、事業年度開始からすでに3ヵ月が経過してしまっていた場合、対応策の1つである役員給与の減額ができず、会社はさらにピンチに陥ってしまいます。
そうした事態を避けるため、法人税法では、「業績悪化改定事由」に該当すれば、事業年度開始から3か月経過後でも、定期同額給与の減額を認め、減額部分の損金算入ができることを定めています。
国税庁では、今回のコロナウイルス感染症の影響により企業業績等が急激に悪化して、例えば、家賃や給与等の支払いが困難となり、取引銀行や株主との関係からもやむを得ず役員給与を減額しなければならない状況にある場合などは、「業績悪化改定事由」に該当するとの見解を示しています。なお、税務調査への対応上、役員報酬を減額する場合は、それを決定した「議事録」を作成・保管することが必須となります。

業績悪化改定事由

法人税法では「業績悪化改定事由」について、その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由によりされた定期給与の額の改定と説明しています。通常、この業績悪化改定事由は厳格で、「財務諸表の数値が相当悪化したことや倒産の危機に瀕したこと」や「経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情」などが挙げられています。