仕入控除税額が事業実態を反映しない場合 「課税売上割合に準ずる割合」で計算可能
課税事業者が課税売上に係る消費税の額から控除する仕入控除税額を個別対応方式で計算する場合には、課税売上と非課税売上に共通して要する課税仕入れ等に係る消費税は、原則、課税売上割合により計算します。
しかし、課税売上割合により計算した仕入控除税額がその事業者の事業の実態を反映していないなど、課税売上割合により仕入控除税額を計算するよりも、「課税売上割合に準ずる割合」で計算するほうが合理的な場合があります。この場合には、課税売上割合に代えて「課税売上割合に準ずる割合」によって仕入控除税額を計算することもできます。
課税売上割合に準ずる割合の算定は、具体的には、使用人の数または従事日数の割合、消費または使用する資産の価額、使用数量、使用面積の割合といったものなど、課税売上と非課税売上に共通して要する課税仕入れ等の性質に応じた合理的なものでなければなりません。
課税売上割合に準ずる割合を適用する場合には、その事業者が行う事業の全部について同一の割合を適用する必要はありません。例えば、(1)事業の種類の異なるごと、(2)事業に係る販売費、一般管理費その他の費用の種類の異なるごと、(3)事業に係る事業場の単位ごと、といったような区分により、それぞれ別の課税売上割合に準ずる割合を適用することができることとされています。
これらの単位で適用を受ける場合には、一部の事業場について本来の課税売上割合を適用し、他の事業場については合理的な基準による課税売上割合に準ずる割合を適用することもできます。
なお、このような場合には、適用すべき課税売上割合に準ずる割合のすべてについて、納税地の所轄税務署長に「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を課税期間の末日までに提出して承認を受ける必要があります。
適用承認申請書を、適用を受けようとする課税期間の末日までに提出し、同日の翌日から同日以後1月を経過する日までに税務署長の承認を受けた場合、その課税期間の末日においてその承認があったものとみなされ、その課税期間から課税売上割合に準ずる割合の適用を受けることができます。なお、承認審査には一定の期間を要するので、承認申請書は、時間的余裕をもって提出する必要があります。