事業承継税制の抜本見直しなどを求める 経産省・中企庁 税制改正要望!
令和9年度の税制改正に向けて各省庁から改正要望が出されています。そのうち、経済産業省と中小企業庁は、事業承継税制の抜本見直し、事業ポートフォリオ転換・強化促進税制の創設や賃上げ税制の適用要件の見直し・延長を求めています。
事業承継税制は、事業承継時の贈与税・相続税負担を実質ゼロにするものですが、令和9年末までの10年間限定の時限的な措置とされているため、令和8年度与党税制改正大綱でもそのあり方を抜本的に見直すとされていました。要望では、事業承継を契機に「稼ぐ力」強化に取り組む中小企業・小規模事業者を後押しする措置へ抜本的に見直し・強化を行うとしています。
また、中小企業向け賃上げ促進税制については、拡充を要望しています。現行制度では、賃上げを行ったものの従業員数の減少により給与等支給総額が増額とならなかった企業は税制適用を受けられません。今後、生産年齢人口の継続的な減少を見据え、こうした企業が制度の適用を受けられるようにするため、適用要件の基準を現行制度の「雇用者全体の給与等支給総額」から「従業員一人あたりの給与支給額」に見直すことを求めています。そのほか、現行制度の給与等支給総額1.5%増加などの賃上げ要件を見直したうえ、適用期限を令和11年度末まで3年間延長するとして、より積極的な賃上げを後押しする方向です。
また、企業が事業等の売却を行った場合に発生する売却価格と簿価の差額である売却益への課税を繰り延べる「事業ポートフォリオ転換・強化促進税制」の創設や、中小企業等経営強化法による認定を受けた計画に基づく設備投資につき即時償却か税額控除のいずれかの適用を認める中小企業経営強化税制について、その活用実績や政策効果等を踏まえ、メリハリをつけた見直しとインセンティブの強化を行い、延長する要望を盛り込んでいます。
政府では、政策減税の租税特別措置の見直しを進めており、各省庁の要望がどの程度取り入れられるか、今後の動向に注視していきたいと思います。
政府は政策効果が乏しい減税策や補助金の見直しを進めていますが、今回の各省庁の税制改正要望でも廃止としたものはほとんどなくその減税額もごくわずかとなっています。租税特別措置(租特)の大半が法人税関係で、減税額は約3兆円以上にもなります。消費税減税の財源のひとつとも目されていますが、具体的な廃止縮減は年末までに行われる税制改正の論議で明らかになる見通しです。財源をどこまで確保できるかが焦点となります。