脱税総額は111億円! 国税庁 令和7年度の査察の概要を公表
一般の税務調査とは異なり、一罰百戒の効果を通じて適正・公平な課税を実現するとしているのが査察調査です。経済取引のグローバルかつ著しいデジタル化の進展などもあり、より複雑化していますが、国税庁ではそれに対応しつつ幅広い業種業態の悪質な脱税者に対して調査を実施しているとしており、このところは消費税事案、無申告事案、国際事案を重点的に調査が行われています。
同庁がこのほど公表した令和7年度の査察の概要によると、脱税総額1件当たりと告発1件当たりの脱税額は前年度に比べ増加しています。
査察に係る処理件数は127件、その脱税総額は111億3,700万円で前年度の150件、112億7,000万円に比べ減少したものの、告発した82件(前年度98件)に係る脱税総額は83億9,000万円(同82億3,000万円)と3年ぶりに増加しています。告発1件当たりの脱税額は過去10年で最高の1億200万円(同8,400万円)となりました。
国税庁では、消費税、無申告、国際関係など社会的波及効果が高いと見込まれるものを重点事案として積極的に調査を進めており、消費税事案では23件を告発していますが、うち12件が不正還付の案件で、不正受還付額は7,300万円となっています。
また、今回告発された事案の例としては、美容系インフルエンサーの活動を通じて広告代理を行う会社が、不正加担者を利用し、取引事実のない架空の業務委託費を計上し、法人税と消費税を免れていたものやSNS等を利用して主に海外顧客に対してイラストを販売していた事業者が海外イベントでの販売収入の一部を申告から除外し、所得税を免れていたものがありました。
今まで告発された事案のうち、令和7年度中にあった一審判決は80件であり、その全てに有罪判決が言い渡されています。そのうち実刑判決があったのは6人となっています。なお、実刑判決のうち最も重いものは、複数の納税義務者と共謀して法人税や所得税等を免れた脱税指南グループの首謀者に下された懲役6年でした。
通称「マルサ」と呼ばれる国税局査察部が行う査察は強制調査であり、特に悪質な脱税事案に対しては刑事責任を追及するために行われる検察庁への告発を行います。査察事案全てが告発されるわけではなく、令和7年度の告発率は64.6%でした。税目別に見ると、半数以上を法人税が占め、消費税が3割程度所、得税16%程度となっています。告発された事案は第一審ではこのところはほぼ全てが有罪となっており、実刑判決が言い渡されることもあります。